ジムに入ると、目の前の美しい景色に思わず息をのんだ。この景色を前に初めての太極拳。ドキドキが止まらない。インストラクターの升本さんが、柔らかな声で動きを丁寧に説明し見本を見せてくれる。優しい先生でほっとする。呼吸に合わせて手足を動かす。だんだんリズムがつかめてきた。手を真横に開きながら、大きく息を吸い込むと、胸に新鮮な空気が入ってきて気持ちがいい。体験の最後には、心も体も整ったことを実感した。その後、ホテルの周りにあるオシャレなショップに入って、空気の器の実物を触ったり、ハート型の水引を発見したり、カチカチのケーキアイスを食べたりと楽しく貴重な体験塾だった。

先生が、習われる姿を拝見できる機会は奇跡だ。体験塾だからだ。太極拳の升本先生への眼差しが、真剣そのものでいらした。太極拳でなくてもきっと同じなのだと思った。武術の太極拳に、身体がどんどん温まってきた。全面鏡張りのジム、目の前には、昭和記念公園が広がり、奥多摩の稜線が見える。ここに自分がいるのが信じられなかった。宿泊者だけが体験できることを、体験させてもらえた。体験して初めて見える世界だった。