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大阪校・美学塾(6)
「何気ないものに美を感じる7つの方法」

5月12日(土)

朋子

印象派の絵画技法は、ニュートン光学に基づいている。
それまで、緑の葉には、緑の色素があると主張していた、ゲーテの色彩理論を、否定している。
けれど、鉱物を採取し、自然科学を愛したゲーテが色を語ると、本当に美しい。
ロジックはニュートンだったけれど、私には、ルノアールやクロード・モネは、ゲーテの色彩論に依拠しているように思える。
初めて訪れたローマの美術館や教会で、毎日飽きるほど、ゴシック、バロック、ルネサンス、マニエリスムの絵画を見た。
最後の日に訪れた美術館に、モネの積み藁の絵が飾ってあった。
ローマでの「印象派展」だった。
最初は、驚きしかなかった。
何が飾ってあるのか、アカデミックな絵に慣れた目には、よく分からなかった。
得体の知れない、明るく、開放的な色の塊が、飾ってあった。
「あのモネだ」と理解するまで、いきなり光へ開放された目に、ショックを受けていた。
印象派が、世間に与えたインパクトを体験した気分だった。
画塾やルーブル、カフェで、彼らは、どんな冒険を語り合ったのだろう。
新しい絵画の世界へ、出発するのだ。
どんな熱気で、絵の前で過ごしたのだろう。
印象派の絵も素晴らしいけれど、画家たちの冒険心も、さらに素晴らしい。

朋子

ビュールレが、美学を勉強していたなんて。
ああ、やっぱりそうかと、腑に落ちた。
カタログ・レゾネで作品を見ればいいと、図録は流し読みした程度だった。
失敗した。
コレクションの質が、普通のコレクターではないレベルで、会場にいる間、大きな謎だった。
どの部屋もハイクオリティで、コレクションに破綻がない。
「なぜ?」と疑問を持ったのに、そのままだった。
やはり、アンバランスなものには、意味がある。
ゴッホ《日没を背に種まく人》、ルノアール《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢》、ゴッホ《花咲くマロニエの枝》、コロー《読書する少女》と、名作を挙げるとキリがない。
画家の「良い作品」を集めることは、非常に難しい。
一流のコレクターになると、ゴッホだったら、どんな作品でもいいというわけではない。
ビュールレのコレクションは、コレクターなら垂涎の的だ。
アートのコレクションほど、教養が表に出てしまうものはない。
集めた作品が羨ましいというよりも、そこまで集めた目が羨ましい。
絵が集まった、運の強さも。

朋子

金閣の鹿苑寺、銀閣の慈照寺の、足利義光と義政のエピソードは、昔話のように、母に何度も教えてもらった。
母の語る日野富子は、頼りない夫に変わって、家計を取り仕切るしっかり者だ。
孤立して戦う、寂しい御台所だった。
「現実逃避した男性は、家族を喜ばす能がないけれど、それが最上級の芸術を生む。だから、芸術家と結婚したら、普通の幸せは諦めなあかん。鹿苑寺よりも、慈照寺の方が、芸術性が高いやろ。静かなものに、美しさは宿るんやで。枯れたもの見て、命を感じるやろ」
そんな話だった。
応仁の乱は、さすがに「先の戦争」とは言わないけれど、遠い戦争ではない。
西陣の職人が、堺へ逃げてしまった。
これは、痛い。
文化交流による発展は、戦争によって起こるらしい。
御室仁和寺は、春は御室桜、今の季節は、苔が美しい。
仁和寺の裏手に、私の日本画の恩師が、アトリエを構えている。
画家と寺社仏閣は、縁が深い。
京都の世界遺産の周り、例えば鹿苑寺の近くの等持院、南禅寺、賀茂御祖神社、賀茂別雷神社など、歴史的な作家が多く住んでいる。

朋子

白川の云われは、全く知らなかった。
東山に、活火山があったことも。
本当に驚いた。
私の頭の中の、東山のイメージが、地殻変動してしまった。
なるほど、黒雲母は軽いし、モース硬度が2.5しかない。
水流で簡単に粉砕されてしまうだろう。
石英や長石が残って、あの白砂になるのか。
それでももって、枯山水で、白砂が使われるのか。
すっごく面白い。
興奮してしまった。
大徳寺には、絵を描く前に訪れる。
瑞峯院に、重盛美玲の良い庭がある。
それを思い出していたら、利休の話になって、驚いた。

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