東京校体験塾(37)
「直しながら長く使う『英国美意識』を体験する。/英国アンティーク博物館 BAM鎌倉」
3月19日(日)
タイチョウ
没入体験でした。現代ではない英国のその時代に音と光でタイムトリップしました。この体験は、中谷先生と土橋様の解説があってこそのスペシャルでした。この日に参加出来たのは、とても幸運でした。
佳葉
ドレスの置き方のこだわりを、先生が伝えられた時の土橋館長の「おおっ!」の瞬間に打たれました。熱量がもう一段上がり、空気がぐわんと揺れました。相手に届く言葉は、これはこうなのではないか、と自分の頭で考えることから、生まれるものでした。別の見方はないか、と自分に問うていきます。
佳葉
シルバーのティーポットが、蝋燭の下では、ゴールドにしか見えない幽玄さに驚きました。
佳葉
アンティーク、イギリスの歴史、シャーロックホームズ、どこまで詳しいか、との土橋さんの問いに、何一つ手を挙げられなかったのが悔しかったです。土橋さんのギャラリートークを聞きながらまわるのとそうでないのとで、楽しさが100倍違うように、受け手の感性と教養の差で、濃さが全く変わってくる空間でした。どれだけ楽しめるかは、興味と問いへの熱さでした。あれだけのホームズ空間を前に、ホームズを知っていたら、解散後また戻っているはずと思うと、悔しかったです。どんなレベルであっても、同じ熱量お話してくださった土橋さんの優しさに、器の大きさを感じました。ホームズを読み、ジョージアン、ビクトリアン時代を勉強します。BAMは、ショップのレイアウトまでもがイギリス様式で、鼻の奥がつんときました。
河村隆彰
中谷先生のようになるには僕の寿命の限り修行するだけでは全く足りないなと感じました。
寿命が尽きてからも修行していても恐らく足りないです。
今の僕では土橋館長のような素敵な方と出会えてもその奇跡を活かせないと感じたからです。
まずはアンティークにもっと関心を持つことから始めます。
何か失礼なことを、しくじりや、やらかしを起こしていなかったかと不安になり振り返るばかりです。
法子
土橋館長さんに、大きなラッパをもつ蓄音機の前に案内された。ラッパの口径は、1メートルほどはあろうか。その大きさに圧倒される。近づいて見ると可憐な薔薇の花が描かれている。どんな音がするのだろう?。土橋館長さんが、結界を越えて蓄音機の横に立たれた。「えっ。 まさか…」と思っていると、「エリザベス女王がお生まれになった、1926年に流れた時に録音された、ビッグベンの音をお聴かせましょう」と仰った。一気に心臓が高鳴る。ダイヤルを回すと、レコードをのせたターンテーブルも一緒に回る。自分の目も回ってしまうのではないかというくらい、凝視した。その間にさらに期待が高まる。針が静かに置かれる。ミチミチミチという音の後、頭上からチャイムが流れた。続いて、鐘の音が12回鳴り響く。目を閉じ、耳を澄ましていると、白黒の世界が広がり、まだ見ぬロンドンの街の風景と、その当時の空気感に包まれていた。
佳葉
一番楽しみにしていて、一番うっとりしたのが、ジョンロブビスポークの木型100足分が置かれた小部屋でした。木型を見ること自体が叶わない中、ジョンロブを、1足でなく100足分の木型を前に、シーンが飛びました。鎌倉のサウスハンプトンでした。ひとつひとつの振りの加減や、端正な佇まいに、見惚れていました。美学でした。
高橋
「この本お勧め」と何冊か置いてある本から、先生はサクッと一冊手に取った。要するに先生は隣に並んでいる本も読んでいるということだ。3枚ほどの路線図を書くために、本の他にも沢山の資料を調べているはず、およそ効率とかコスパといった発想はない。
さて、塾で紹介頂くスゴい方に共通するのは話のテンポが速い事。この日は塾生の前で講演の話が決まっていった。新しい方に出会ったら小さい仕事をサクッと決めていくことの大事さを、塾生に見せてくれたのだ。
後ろにある巨大な蓄音機は美の国秋田から出土したという。田舎の人はこうしたものにお金を使う。なんとも微妙な気分だ。そういえば、私の実家にも蓄音機用のレコードがあった気がする。聞いたことは無いが音楽盤だと思う。
今回、生で聞かせて頂いたのはビッグ・ベンの鐘の音。このレコードを聞いてエリザベス女王を忍び、英国大使と黙祷したという。それにしても音楽盤と違って、こうした環境音のレコードは元々数が少ないはず。入手はどれ位大変だったのだろうか。日本の旧家の蔵に保管されていたものとは、同じアンティークでも次元の違う収集難易度に違い無い。
最後に「横浜だったら毎週来られるでしょ」と土橋館長。私の趣味的には、中谷塾から土橋塾に転校したほうが良さそうだけど、まだモテたい煩悩が少し残っているので当面は中谷塾にしようと思う。
法子
土橋館長より、直々にお話を頂きながら、4階まで一緒に回って来た。隈研吾さんによる立礼式茶室の窓から、鶴岡八幡宮を見た。まさに掛け軸だった。ここまでですでに胸がいっぱいだった。土橋館長を一同が囲んだ、その時。中谷先生がポンと質問をしてくださった。土橋館長の話にさらに熱が入る。どのように夢をもち、それを叶えていったのか。いろんな偶然が重なり、ついに北原照久さんにお会いしたとき、涙があふれてきたという話を聞いた。「ゑり善」のご主人・彬さんの話す姿と重なった。土橋館長ご本人から、息つくひまなく語られる話、発せられる声、全身からほとばしる熱にしばし酔いしれた。中谷先生のお話のふりに感謝。まさにそこが、今日、土橋館長より一番聞きたかったことだった。