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中谷彰宏公式サイト - AKIHIRO NAKATANI -

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中谷彰宏からの今日のメッセージ

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天才は、サービス精神を持っている。
津軽三味線奏者・山下靖喬さん

2021年01月11日(月)

親愛なる君に

「天才は、どんな共通点を持っていますか」
と、聞かれました。
僕が出会った天才は、すべて技術もさることながら、
サービス精神を持ち合わせています。

「ビューティ&ウェルネス研究所」の講演でお話してきました。
所長は、籔内佐斗司先生。理事長は、下村朱美さんです。
テーマは、「コロナの中で、美の力の役割」です。
一緒にコラボしたのは、
津軽三味線の山下靖喬さんです。
子供の頃、毎日夕方2年間聴き続けた『新八犬伝』の太棹が、
僕の中学生の体に染み込みました。
フレットのない三味線の世界に、引き寄せらました。
早稲田の演劇科の同級生が、国立劇場に就職して、
最初の修行は、三味線の下座音楽を一日中聴くことでした。

山下さんは、17歳で日本一になった天才三味線師です。
一丁の三味線で、まるでオーケストラを聴く迫力でした。
ロックのようでもあり、ジャズのようでもありました。
お話を伺うと、糸が切れても演奏できるように、
切れた時の練習もしているそうです。
軒付で弾いて、扉を開けてもらうには、
音量だけでなく、圧倒的な力量を求められたのです。
超絶技巧のところでは、息を止めるので、
拍手が来ると、張り切りすぎて、窒息寸前になるそうです。
山下さんは、サービス精神旺盛のエンターテイナーで、
トークも爆笑でした。
東京芸大には、津軽三味線の先生がいなくて、
同じ三味線でも、音階も理論も違う長唄細棹の先生についたのも、
僕は、むしろ幅を広げる幸運を、天才が持っていたということです。
弾き方よりも、お辞儀の仕方を叩き込まれたそうです。

彰宏より

P.S.
また、どんどん和の世界に、吸い寄せられて行っている気がします。

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