この世のものではないものとの交流で、生を取り戻す。
(バレエ『ジゼル』)
2017年06月07日(水)
親愛なる君に
『ジゼル』に、バレエの原点があります。
バレエの物語は、見えるものと見えないものとの交流です。
この世のものと、この世のものではないものとの交流です。
日本の能にも通じる世界です。
バレエの衣装が、半透明なのは、見えないものの象徴です。
重力を感じさせない動きは、この世のものではない象徴です。
ブルートーンの照明も、この世のものではない象徴です。
この世のものではないものに触れることで、
生の証しに気づくのです。
優しさゆえに、愛する人を傷つけてしまう男。
愛するがゆえに、愛する人を傷つけてしまう男。
愛するがゆえに、傷つけた男を赦(ゆる)せない女。
愛するがゆえに、傷つけた男を赦す女。
観客は、その時どきの心境で、4人の誰かに感情移入して
見入ってしまうのです。
彰宏より
P.S.
『ジゼル』原作者のテオフィル・ゴーティエの小説『コーヒー沸かし』を、
演劇科の学生の時、フランス語のテキストで勉強しました。
なんともいえない幻想的な雰囲気でハマりました。