一番撮りたい風景は、見とれて撮り忘れた風景だ。
(11月大阪校体験塾・琵琶湖疏水クルーズ・前編)
2020年11月20日(金)
親愛なる君に
11月の大阪校体験塾は、琵琶湖疏水クルーズ。
紅葉シリーズ続編。
永観堂から哲学の道の琵琶湖疏水分水を歩き紅葉を眺め、
箱根では登山鉄道とバスから眺めた紅葉を、
船から眺める贅沢コース。
コートが暑かったかなと思うような小春日和。
いつも家から徒歩参加の田村くんは、コートなし。
明治号は、塾生のみで貸切というお大尽コース。
乗り込むと、水面が目の高さにある。
流れが秒速3.5メートルの流れは、意外に速い。
蹴上から大津に、流れに逆らって進む。
ますます、のんびりムード。
船のもやいを解くと、一気に後ろに流された。
それは、助走のためのバックだった。
エンジンがかかった瞬間、みんなが大声を上げた。
それは、歓声ではなく、叫び声だった。
速い。
「このスピードで、大津まで向かいます」
と、女性ガイドの田中さんの笑顔の一言で、覚悟を決める。
乗り込む前の説明で「今のうちに、着込んで置いてくださいね」
という注意の意味を知る。
僕は、先頭に乗った。
慌てて、コートのボタンを上まで止めた。
コートを着ている僕が先頭で良かった。
みんなは大丈夫かと後ろを見ると、
船の航跡が、水路の壁から、船に戻ってくる。
自分の船の航跡を避けるように、高速で進む。
途中、第3→第2→第1の順に、トンネルを進む。
トンネルの中は、更に寒い。
出口が、小さく見える。
昔は、これを引っ張って流れを登ったというロープを、
田中さんが懐中電灯で照らして見せてくれた。
このトンネルを人力で掘った当時の人たちの苦労の
ひとかけらを、体感することができた。
最初の第3トンネルの出口を出るところの紅葉は、
またもやあの世の風景だった。
トンネルの闇を額縁に、紅葉が水面に反射していた。
見とれた。
一番写真に残したい風景は、一番写真を撮り忘れる。
疏水脇の散策路を歩く人が振る手に、手を振って返す。
疏水船にカメラを向ける人に、笑顔。
紅葉の景色の中に、入りました。
彰宏より
P.S.
油断するのは、まだ早かった。
明治号は、いよいよ最長2400メートルの第1トンネルに
入って行きました。
続きは、明日のレターで。
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