親愛なる君に

「美術品は、何を見に行けばいいんでしょうか」
と、聞かれました。
本物は、本物を紹介してくれます。
国宝は、国宝を紹介してくれます。
京都で国宝まみれになって以来、
国宝の顧客リストに名前が入ってしまったに違いない。
次から次へと、国宝さんから「うちにも、来てください」
と呼ばれます。
人が国宝を見に行くのではなく、
国宝が人を呼ぶのです。
二条城で、徳川家のリストに入ったせいで、
名古屋城本丸御殿に吸い寄せられるように、行きました。
それで帰してもらえません。
「何、帰る？ 何寝ぼけたこと言うとんのじゃ。
帰るかどうかは、おんどれが帰るかどうかは、
ワシが決めるんじゃ」
という、『アウトレイジ』の西田敏行さんのセリフが聞こえました。
徳川家の美術の神様に、連れて行かれるように、
徳川美術館へ。
尾張徳川家のお嫁入り調度品・刀剣や『源氏物語絵巻』など国宝９件。
徳川家顧客リストと国宝顧客リストは、
つながってるようです。
蓬左文庫の本の匂いを満喫。
徳川園の滝の音に、心を洗われました。

彰宏より

P.S.
まだ帰れません。
ここでまた、西田敏行さんが、
登場するのでした。