稲川さんの怪談を聞く人は、誰もが母親を思い出している。
(稲川淳二『ミステリーナイトツアー2019』)
2019年09月03日(火)
親愛なる君に
稲川淳二『ミステリーナイトツアー2019』に行ってきました。
終演後、楽屋でお話を伺ってきました。
今年で27年目。
毎年、気づきがあります。
稲川さんのお話に出てくる霊が、怖さと優しさを持っているのは、
自分の会いたい大切な人をそこに見ているからだと、気づきました。
大切な人は、母親・家族・恋人です。
大学生の部屋に毎晩、訪れる「スケスケ・ネグリジェ」の女性は、母親の霊。
新卒教員の部屋に来た「赤いゲタ」の女性は、恋人の霊。
特攻隊員を見送った元女学生は、母親の視点で、息子の霊に出会っています。
大切な人の霊だから、怖いのに優しいのです。
足のない幽霊を作った円山応挙は、枕元に立った亡き奥さんを描いたのです。
子供のころに、稲川さんに怪談を話してくれたのは、稲川さんのお母さん。
稲川さんのお話を聞きにきている僕たちは、母親に出会っているのですね。
もう1つ、気づいたこと。
稲川さんの怪談には、自然描写が美しい。
特攻隊員は、飛び立つときに挿していった天人菊。
次の公演先への移動で忙しいのに、楽屋で長々お話をしてくれる
稲川さんの優しさが、霊の優しさでもあります。
彰宏より
P.S.
最近、心霊写真に写る霊も、「ちょっと、かわいいんじゃないかな」と
だんだん好きになってきている自分がいます。